【第1号】放射能から身を守る塩と味噌

 

 

 

◎1945年8月9日、長崎市。原爆が投下された壊滅的な被害の中で、生き残った人たちがいた。1人の医師の助言が生死を分けた。それは「味噌汁を毎日食べさせろ!」

  

 爆心地からわずか1・8㌔㍍の場所で被爆したにもかかわらず、その後原爆症も出ず、大勢の命が奇跡的に助かったという事実がある。

 

死の明暗を分けたのは、当時浦上第一病院医長であった秋月辰一郎博士によるとっさの指示だった。

「水は飲んではいかんぞ!」

「爆弾をうけた人には塩がいい。玄米飯にうんと塩をつけてにぎるんだ。塩からい味噌汁を作って毎日食べさせろ。そして、甘いものを避けろ。砂糖は絶対にいかんぞ」

 

 レントゲンを受けたあとに起こる倦怠感には少し多めの塩分を取ることが良いことを経験上知っていた博士は、原爆の放射能から身を守るには塩が有効だということを直観的に見抜いた。   

 

血液の濃度を保つため水は控えさせた。また、自身の結核を味噌汁と玄米で克服した博士は、患者にもミネラルを多く含んだわかめの味噌汁を、毎日取らせた。博士の体験記により、チェルノブイリ原発事故のあとヨーロッパでは、日本の味噌が飛ぶように売れたという。

(参考・秋月辰一郎著「死の同心円―長崎被爆医師の記録 」)

 

 

 

◎体質を作り変えることが医学の本然

  

秋月博士は、「体質医学」の大切さを次のように主張している。

「人間の体質を作り変えることが医学の本然の姿である。人間の体質を作り変えて、病気にかからなくてすむ身体、また病気にかかっても軽くて治る身体になることである。また、慢性疾患に罹患していても、体質を変えていつの間にか病気が離れる身体になる」

 

人間の体質を良くするためには、甘いものやアルコールを控え、自然醸造味噌や自然塩、玄米、味噌を取るのが肝要だという。福島原発事故による放射能汚染が懸念されるなか、60年以上前の博士の言葉が今再び注目を集めている。

 

 

 

◎秋月辰一郎博士の経歴

 

1916年長崎に生まれる。京都帝大医学部を卒業後、長崎医科大で物理療法を研究。その後、長崎浦上第一病院の医長に就く。8月9日、勤務中に被爆、自身も負傷している中、被爆者の救急医療にあたる。医業のかたわら、原爆被害の証言の収集に努めた。著書に「体質と食物」など。05年死去。