【第17号】「医者ごろし」と呼ばれた食べ物

 

 

 

◎古くからの栄養食

  

 江戸時代にその健康増進効果から「医者ごろし」と呼ばれていた食べ物が、日本でお馴染みの「みそ(味噌)」である。その起源は古く弥生時代までさかのぼり、戦国時代には戦場で保存が利く栄養食(陣中食)として重宝され、武田信玄は信州味噌、伊達正宗は仙台味噌の生産に注力したといわれている。

 

みそは、主材料である大豆そのものが良質なたんぱく質や脂質、糖分、ビタミン、ミネラルなど含む、栄養豊富な食品。そこに発酵という多種多様な微生物が多量の栄養成分を生産し蓄積させる工程が加わり、みそは栄養価をさらに高めているのだ。

 

このようにみそは栄養食として古くから重用されてきたが、最近の研究でさらに驚くべき効果があることが明らかになってきた。

 

 

 

◎がん予防は台所で

 

「みそ汁を飲む人に胃がんが少ない」。1981年に国立がんセンター研究所・平山雄疫学部長が、26 万人もの食生活を17 年間追跡調査し発表した内容だ。みそ汁を毎日飲む人の胃がん死亡率は、ほとんど飲まない人の約半分だったのだ。この関係を明らかにしたのが、広島大学原爆放射能医学研究所の伊藤明弘教授だ。がんに羅病したネズミに、みそを10 %含んだ飼料と含まない飼料を与えたグループを比較した動物実験では、みそを食べたグループはがんの発生率が3分の1に減少したという。伊藤教授は、みその有効成分は約1000種類以上もあるとし、特にみそに含まれるフラボノイドの1種であるバイオカイニンA やゲニスタインいう物質が、胃がん細胞抑制効果に寄与しているとしている。

 

伊藤教授は「日本にはみそ汁という素晴らしい食習慣があるのですから、これを健康に利用しない手はない」と述べ、毎日2杯程度のみそ汁の摂取を推奨している。