【第21号】高齢者の自宅を「子ども食堂」に

 

 

 

◎子どもだけで入れる食堂

  

豊島区に子供が1人でも入ることができる食堂がある。その名も「要町あさやけ子ども食堂」だ。この食堂は、池袋駅から地下鉄でひと駅の住宅地で、第1・第3水曜日の17時半にオープンする。一食300円で夕食を提供しているこの食堂には、親の帰りが遅く夕食を1人だけで食べていた子や、不登校だった子、赤ちゃん連れのシングルマザーなどが立ち寄る。

 

店主の山田和夫さん(66)は6年前に妻を亡くし、息子夫婦や孫が別居した4年前からは一人暮らしの生活を送ってきた。6年前に玩具メーカーを定年退職した山田さんは、自宅でパン店を開いていた妻の遺言で1週間に1度パンを焼き、ホームレス支援団体に寄付してきた。

 

だが、山田さんも地域とのつながりは乏しく、ここ数年は元気を失い孤立しかけていた。その山田さんが「子供向けの食堂をやりたいな」と地域での集会でつぶやいたのをきっかけにして、“豊島子どもWAKUWAKUネットワーク”を運営する栗林さんの応援もあり動き出した。

 

それからの準備は大変だったという。保健所の営業許可をとるための家の工事、食材をどうするか、調理のスタッフをどうするか、子供は来るだろうか。いろいろ心配事もあった。妻が残しておいてくれた地域のネットワークで手伝ってくださる人が次々とあらわれ、2013年の春に、「要町あさやけ子ども食堂」がオープンした。〈長い夜が終わって、もうじき夜明け、でも今はまだあさやけの時〉。そんな気分で名前をつけたと山田さんはいう。

 

 

 

◎大にぎわいの「子ども食堂」

  

「子ども食堂」はいつも大にぎわいだ。「多いときはママチャリが20台、玄関に靴が50足も並ぶ」と山田さん。来店者は、入口で名前を書き、お金を払うだけでいい。だれにでもオープンだ。食堂には父親の帰りが遅い家庭の母子が地域とのつながりを求めて訪れる。また、「子ども食堂」を開きたいというほかの地域のボランティアによる見学も引きを切らない。

 

そうした中に、親の帰りが遅いために1人で夕ご飯を食べている子供や、不登校だった子供が仲間と夕食を共にしながら遊ぶ姿がある。