【第32号】米国財政のための『安保法案』

 

 

 

◎米国 国防予算に「自衛隊」組み込む

 

米国が、日本の安保関連法案の成立を見越して、次年度の国防費(軍事費)の算定に入っていることが分かった。


米軍の情報を伝える専門紙「スター・アンド・ストライプス」は5月、「米国は、日本の安保関連法案成立を前提に、2016年の国防予算を組んでいる」と報道。「米軍は海外活動を縮小し、軍事力は海軍と空軍だけに集中。兵士の減少分は日本の自衛隊を派遣して、補てんするという見解を示した」と伝えた。さらに「陸軍4万人の兵士と文官1万7000人を削減する案も決まっている」と報じた。

 

米国は「自衛隊に米軍を補完させて軍事費を抑制しよう」という考えだ。

 

 

◎数十兆ドルの借金 迫る財政破綻で国防費を削減

 

米国が国防予算に「自衛隊」を組み入れる理由は、目前に迫る財政破たん。

 

米国の財政収支は深刻で、09年には1兆4000億超ドルの赤字を記録。その後、減らしてはいるものの、15年も4260億ドルのマイナスを予想。米国政府は「何も手を打たなければ17年以降、再び赤字が大幅に増大する」と試算しているほどだ。


債務残高に関してはさらにひどい状態にある。15年には18兆ドルを突破し、今後も右肩上がりの増加が予想されている。しかも、これは地方の自治体や住宅金融の債務を含まない数字とされる。

 

元財務副長官のロジャー・アルトマン氏は10年に「政府が公表している債務9兆ドル以外に、12兆ドルの債務がある」と〝隠し債務〟の実態を論文で発表し、「債務の総残高は21兆ドル」とした。

 

氏の論文発表から5年が経った現在、米国の借金はさらに膨れ上がっており、破たん寸前の状況。財政の15%前後を占める国防費の抑制が必要とされるのはそのためだ。

 

 

◎「海外戦費」分を自衛隊で穴埋め そのための『安保法案』

 

国防費は11年以降、減少傾向。だが、米国が今後も軍事的優位を保つためには、最新兵器などの開発費予算は削ることができない。そこで削減の主な対象となっているのが、国外の軍事活動に充てる「海外戦費」だ。

 

アメリカン大のデイビッド・バイン准教授によると、海外戦費は12年の国防費で4分の1を占め、1700億ドルに上った。


削った海外戦費分の活動を補うにはどうしたらいいのか―。

 

その答えが「日本の自衛隊に負担させる」ことだ。

 

米国は12年8月、「アーミテージ・ナイ報告書」を発表、「(自衛隊を抑制している)専守防衛と1国平和主義を見直せ」「集団的自衛権の禁止は(日米)同盟の障害だ」と日本に迫った。


同報告書から4カ月後の12月、安倍自民党が衆院選で大勝し、米国の都合を実現できそうな政権が日本にできた。


自衛隊の集団的自衛権を認める安保関連法案がまもなく成立するが、米国の財政危機から見れば、同法案は「米国の財政を補てんするために必要とされた」ということが分かる。