【第30号】天津大爆発 有害物質飛来の危機

 

 

 

シアン化合物、神経ガスなど最大3千㌧が飛散? 

 

12日深夜に発生した中国・天津の大規模爆発から2週間。中国では神経ガスやシアン化合物など有害物質が大量に飛散したとの報道もあり、日本への被害が懸念される。

 

菅官房長官は19日、記者会見で天津爆発によって有害物質が日本へ飛来する可能性について聞かれ、「健康に影響が生じることは考えにくい。大気モニタリング結果でも特別な影響は認められない」と話した。

 

18日には、山形大と東北大の研究チームが、爆発直後の噴煙が大気に広がる衛星画像の様子からその影響を分析し、結果を発表した。

 

データを解析したのは、中国などから飛来する微小粒子物質(PM2・5)を研究している柳沢文孝山形大教授(環境化学)と工藤純一東北大教授(環境情報科学)の研究チーム。今回の天津爆発でも、翌日13日から16日にかけて米国航空宇宙局(NASA)の画像で解析を行った。爆発後に噴煙は大気と共に渤海を経て、朝鮮半島に到達していたことを確認。14日の降雨で、噴煙に含まれる物質は天津から近郊の湾、朝鮮半島に降り注がれたという。

 

黄砂とともに秋には大量飛来するおそれ研究チームは「日本に到達したとしても微量で人体には影響ない」としているが、中国で化学薬品の貯蔵施設の設計に携わった経験を持つあるエンジニアは安心できないと、警戒感を強めている。

 

「現地の情報では16日以降も高濃度の汚染物質が大気を漂っていたという情報もあります。確かに現在は日本付近に高気圧が広がっていて、有害物質が日本に到達しにくい状況ですが、逆に言えば高気圧が太平洋側に下がった場合、つまり低気圧で雨が降るような天候では、時速300kmの偏西風のジェット気流に乗って有害物質が運ばれてくる可能性は十分あります」

 

天津と大阪とは1700km、東京との距離は2000km。偏西風は最短で5時間半から7時間くらいで達する距離だ。

 

シアン化合物による中長期の曝露被害は、中枢神経障害や生殖障害などが研究によって報告されている。

 

中国天津市当局や公安省などによる発表では、施設に保管されていた有害物質の量は700トンから3000トンとばらつきがある。現在でも絶対安全といえない状況で、さらに秋の大量の黄砂とともに今回の有害物質が運ばれてくる可能性も出ている。